ごあいさつ
JALS がめざすもの

上島 弘嗣 統合研究委員長 高齢化が進む中、動脈硬化性疾患の予防は、今後ますますわが国の重要な疾病予防対策となる疾患です。これには、高血圧をはじめ、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満等の多くの要因が関連しています。そこで、わが国を代表する動脈硬化性疾患発症要因を明らかにすることを主たる目的として、大規模コホート共同研究を立ち上げるため、日本動脈硬化予防研究基金の共同研究として、Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study(JALS)を企画しました。これが統合研究です。
 わが国には多くの優れたコホート研究があります。しかし、それぞれのコホート規模は比較的小さく、地域特性も存在します。そこで、本共同研究では、個々の研究者によるコホート研究を基に、それらのコホートにおける個人データを統合し、単位のメタアナリシスにより、わが国を代表できるコホート研究を立ち上げることにしました。
共同研究は、信頼関係と研究に携わるものの合意を形成する過程が最も重要です。そこで最初に、共同研究への理解を深め、個々の研究者の合意形成を促すために、2日間にわたりワークショップを実施しました。なぜわが国において、大規模な個人単位のメタアナリシスによる共同研究が必要か、研究の目的とエンドポイントは何か、標準化の方法、等について、約50名の研究者が8つの班に別れ討議しました。また、その後も、ワークショップの成果に基づきJALS委員会を結成し、合意形成を図りました。さらに、研究説明会を数回開催して、研究者の抱く疑問点の解消に努めました。そのような経過の中で、血圧測定方法、統一問診票、栄養調査方法、運動身体活動評価方法の検討班を作成して、研究班への導入を図りました。
統合研究における実際の研究形態は二つあります。一つは、(1)標準化を達成してこれから前向きにコホート研究のデータを統合する(統合研究)、二つは、(2)先行するわが国のコホート研究より、個人単位の成績を統合し、緩やかな標準化を行って統合する(0次統合研究)です。(1)の統合研究は、現在10万人規模のコホートが成立し、5−10年間を目標として追跡を開始しています。(2)の0次統合研究は、既存のコホート研究を用いて、分析項目をそろえ、緩やかな標準化のものと統合するものです。これは、現在分析が進み、論文作成が進行しています。
事務局の支援のもと、ワークショップ、説明会、研究会等を通じてこの統合研究が可能となる合意形成が着実に築かれてきたと思います。今後、さらに本共同研究に参加される皆様のチームワークがより一層強化されることを願っています。

Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study (JALS)
委員長 上島弘嗣