高島コホート研究
[最終更新日:2008年8月5日]
地域紹介
■人口
滋賀県高島市 53,950人(2005年10月1日現在)

■年齢構成
平均年齢45.6歳(平成17年)

■地域の特徴
高島市(たかしまし、693.00km2は、2005年1月1日に旧高島郡の、高島町、安曇川町、今津町、新旭町、マキノ町、朽木村の5 町1村が合併して誕生した、琵琶湖の北西側に位置する市である。「日本の滝百選」に選ばれている八ツ淵の滝や、「日本のさくら名所百選」の一つである海津大崎の桜並木、湖中に朱塗りの大鳥居がある白鬚神社、前方後円墳であったと考えられている鴨稲荷山古墳など、数多くの景勝地と歴史的遺産が存在する。

・高島市ホームページ
http://www.city.takashima.shiga.jp/

高島市の風景
田園風景
田園風景
湖と灯台
湖と灯台
メタセコイア並木
メタセコイア並木
コホート概要
■歴史
滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学部門では、統合研究が開始される10 年以上前の1989年から脳卒中、心筋梗塞、突然死の発症に関する悉皆調査を高島市内外の医療施設の協力を得て行ってきた。この発症登録研究は、1980 年代に行われたWHOのMONICA研究の日本版として国立循環器病センターを中心に多くの循環器疾患の疫学の専門家によって行われてきた。しかし、今日まで一定の精度を保ちながら継続している循環器疾患の発症登録研究は本研究と秋田県を含む僅か数件のみとなった。現在、発症登録研究は続けられており、これまでの長期にわたる多くの登録症例を背景に発症率の推移や季節変動などさまざまな成果を出しつつある。

 我々は、発症登録システムを作り上げた当初から、このシステムを循環器疾患の発症をモニターするだけでなく、コホート研究(追跡研究)のエンドポイント(発症・死亡)を把握するシステムとして活用したいと考えていた。そして、2000年、動脈硬化予防研究基金の呼びかけをきっかけに高島市(当時は5町1村)で循環器疾患の発症要因を解明することを目的とするコホート研究を開始することを計画した。

 ベースライン調査は町(村)の老健法基本健診に併せて行うことにした。調査は、町の保健担当者とともに調査の計画を練り、契約を結び、全ての字で住民説明会を開き、調査の主旨を理解してもらうことから始めた。2002年の安曇川町および新旭町をかわきりに、2003年に高島町とマキノ町でベースライン調査を行った。翌年には朽木村と今津町で行う予定であったが、高島郡5町1村の2005年1月の合併のため2004年および2005年の調査は事実上行うことができなかった。その後、誕生なった高島市とあらためて循環器疾患の発症登録研究と本コホート研究を「高島研究」として正式に契約を調印し、2006年の高島市朽木地区(旧朽木村)からベースライン調査を再開し、2007年の今津地区(旧今津町)で一応旧高島郡全町村での第一次ベースライン調査が終了した。現在、第2次調査(繰り返し調査)を安曇川地区(旧安曇川町)で行っている最中である。今後は順次旧町村に該当する地区を巡り、繰り返し調査を行う予定である。

 2007年までの第一次調査に約6,100名の高島市民の方々からご協力をいただいている。

安曇川地区(旧安曇川町)での健診風景

■調査項目
問診: 既往歴等、身体活動調査、栄養調査
理学所見: 身長、体重、血圧、脈拍、心電図、ABI/baPWV
尿検査: 蛋白、糖、潜血、ウロビリノーゲン、尿中Na、K、クレアチニン
血液検査: 赤血球数、白血球数、Hb、Ht、GOT、GPT、γ-GTP、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、クレアチニン、尿酸、HbA1c、血糖値、高感度CRP、BNP、インスリン、遺伝子
生体試料保存: スポット尿、血清、血漿、遺伝子(いずれも-80℃保存)


■主な成果(いずれもPubmedへリンク)
・Rumana N, Kita Y, Turin TC, Murakami Y, Sugihara H, Morita Y, Tomioka N, Okayama A, Nakamura Y, Abbott RD, Ueshima H. Trend of Increase in the Incidence of Acute Myocardial Infarction in a Japanese Population: Takashima AMI Registry, 1990-2001. Am J Epidemiol. 2008 ;167:1358-64.

・Turin TC, Kita Y, Murakami Y, Rumana N, Sugihara H, Morita Y, Tomioka N, Okayama A, Nakamura Y, Abbott RD, Ueshima H. Higher stroke incidence in the spring season regardless of conventional risk factors: Takashima Stroke Registry, Japan, 1988-2001. Stroke. 2008 ;39:745-52.

・Turin TC, Kita Y, Rumana N, Sugihara H, Morita Y, Tomioka N, Okayama A, Nakamura Y, Ueshima H. Registration and surveillance of acute myocardial infarction in Japan: monitoring an entire community by the Takashima AMI Registry: system and design. Circ J. 2007 ;71:1617-21.

・Turin TC, Kita Y, Murakami Y, Rumana N, Sugihara H, Morita Y, Hirose K, Okayama A, Nakamura Y, Ueshima H; Takashima Stroke Registry. Increase of stroke incidence after weekend regardless of traditional risk factors: Takashima Stroke Registry, Japan; 1988-2003. Cerebrovasc Dis. 2007 ;24:328-37.

・Yoshida M, Kita Y, Nakamura Y, Nozaki A, Okayama A, Sugihara H, Kasamatsu T, Hirose K, Kinoshita M, Ueshima H. Incidence of acute myocardial infarction in Takashima, Shiga, Japan. Circ J. 2005 ;69:404-8.

・Kita Y, Okayama A, Ueshima H, Wada M, Nozaki A, Choudhury SR, Bonita R, Inamoto Y, Kasamatsu T. Stroke incidence and case fatality in Shiga, Japan 1989-1993. Int J Epidemiol. 1999 ;28:1059-65.

■研究の特徴
このコホート研究では開始当初から、健診終了後には、地区巡回結果説明会を必ず実施し、研究協力者だけでなく健診受診者全員に対して、全ての健診会場で、基本健診の結果と研究で追加した検査結果の説明を行っている。さらに、健診の結果、改善の必要な方あるいは地区に対してそれぞれに合わせた健康教育を行っている。特に、HbA1cが高値もしくは肥満度が高い対象者には、食事調査やライフコーダを用いた糖尿病教室を保健センターとともに継続的に行っている。この研究協力者および健診受診者へのケアは第2次調査でも特定保健指導への協力という形で継続して行う予定である。

 また、この高島コホート研究の特徴は、高島市との連携に基づく研究協力者の異動情報の正確な把握と患者把握のための一次情報の活用によって達成できるエンドポイントの高い悉皆性にある。

 また、この研究で血清、血漿だけでなく遺伝子および尿も長期に保存していることも特徴のひとつである。これら生体試料の活用および長期保存については協力者の同意を得ている。これらの試料を用いることによってすでに知られている因子との関連性だけでなく新しい分析法を導入した未知の因子の発見が可能である。

 現在、ベースライン調査が終了したところであり、詳細な解析による検討は行っていないが、今後、ベースライン調査の成績のみを用いた成果、そして追跡調査の成績を加えた解析による成果を順次公表する。
http://hs-web.shiga-med.ac.jp/
高島コホート研究の組織
主任研究者: 喜多 義邦 滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門
分担研究者: 中村 保幸 京都女子大学家政学部
松井 健志 東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野
高嶋 直敬 滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門
杉原 秀樹 公立高島総合病院
森田 豊 マキノ病院
桂田 富佐子 滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門
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