研究成果
3.論文解説
0次統合研究について
JALSには、「標準化された方法に基づいて調査を行い、各コホートのデータを統合する『統合研究』」と、「先行するコホート研究の個人単位の成績を統合し、緩やかな標準化を行って統合する『0次統合研究(JALS-ECC; Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study-Existing Cohorts Combine )』」の2つの研究があります。0次統合研究に関して、全体としての集計が終わり、論文として報告されましたので、紹介致します。
はじめに
日本では数々のコホート研究が行われてますが、対象者数が少ないコホートが多いのが現状です。循環器疾患における発症は少ないので、対象者数が少なかったり、追跡期間が短いと、より正しい研究結果を導き出す事ができません。

0次統合研究は、JALSに参加している全国の循環器疾患に関するコホートのうち、21コホートにおいて過去に調査された血液検査データや生活習慣の調査結果と循環器疾患発症に関する情報を事務局で一つにまとめ、その大規模なデータを用いて、わが国における循環器疾患における知見を導くものです。
結果
0次統合研究で集まったデータの対象者は66,691人(地域82.7%、職域17.3%)、男性と女性の割合はそれぞれ44.5%と55.5%でした。追跡期間は平均93.4ヶ月でした。

対象者の地域は、以下のような分布でした。

ベースライン時に測定された項目は、身長・体重・収縮期血圧・拡張期血圧・総コレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪・血糖値・喫煙習慣・飲酒習慣などです。

追跡期間中に脳卒中を発症した人は1,478人(脳梗塞975人、脳卒中267人、くも膜下出血178人、詳細な分類不明58人)、心疾患を発症した人は230人で、そのうち、脳卒中による死亡は409人、心疾患による死亡は169人でした。
おわりに
0次統合研究は循環器疾患の発症や死亡を調査した日本で最も大きい研究です。既にコホートが集めたデータを扱っているため、各コホートで調査方法が異なるものもあり、緩やかなデータの統合となっていますが、今後、循環器疾患の予防を考える上で有用な結果が発表される予定です。
Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study (JALS) Group. Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study-Existing Cohorts Combine (JALS-ECC). Circ J. 2008 ;72:1563-8 (Pubmed)